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当時、TVでF-1が放映されたばかりで、そのオープニングでCGで書かれたRA272
が目の前にある。エキゾーストパイプが動物的に何ともいえない曲線を描きV12
エンジンの上を覆いかぶさるように後方へ延びている。ぼくらの口から出る言葉は
「スゴイなぁ」だけであまりの刺激と興奮でしゃべれなかった。

ひとしきり写真を撮ったり、ビデオを撮ったりしてドリンクコーナーで休憩した。
歴史を造り上げたモノというのはスゴイもので、多くの人々に感動と驚嘆を与える
しかもその実物を眼の前にした時の衝撃は言葉では表せないくらいの感動を与えて
くれ、それを造り上げた本田 宗一郎とLOVESTEP! 名誉顧問をしていただいている
根本・浦野 両顧問に対してあらためてその偉大さを感じた。

根本顧問がNやLifeを開発している時、ほとんど毎日のように殴られたという。
特に宗一郎の機嫌の悪い時などは開発に携わっている者がトイレに殺到しトイレが
ギュウギュウ詰め状態になった、と笑いながら話してくれた。
毎日、毎日が設計変更の連続だったが、うまくいくと「やればできるじゃないか」
と肩をポンと叩いてニコニコうれしそうな顔で喜んだ。
根本顧問はそれがたまらなくうれしかったと話ししてくれた事を思いだした。
その時の日々はぼくたちには残念ながら想像でしかわからない。
こ〜ちゃんが「あのNの横にオレのステップ並べたいなぁ」とのんきな事を言って
いる。

いよいよ二階のメイン会場へと進む。多くの人たちに続き階段を上がっていくと
日頃、会議や講習会に使っているような大きなホールへ入った。
そこには、この日一番心に残った物が眼に入ってきた。ホールの入口の壁は一面
赤いパネルで作られ、中央に宗一郎の写真が飾られ両サイドに英語と日本語で
こう書かれていた。

【皆様のおかげで 幸せな人生でした どうもありがとう 本田 宗一郎】

なんという言葉だろう。亡くなって、悲しくて、ここに出向いたすべての人々に
お礼の言葉を述べている。みんな、この写真の前で足を止めている。みんな胸に
よぎる事は一緒なのだろう。これが本田 宗一郎という人物なのだ。
これがホンダなのだ。
宗一郎の好きな赤をバックに、にこやかに微笑んでいる写真を見てホンダといっ
しょに過ごせる時代に生まれた喜びを体全体で感じていた。
こんな想いは生涯そうあるものではないと思う。また鳥肌が立ち、涙ぐんでしま
った自分がちょっと恥ずかしかった・・・。

そこからは世界各国から贈られた名誉勲章や思い出の写真・数々の品々・自筆の
絵画などが展示されており、スーパーカブ1号車やCVCCエンジンも展示していた。
すごい人で会場はごったがえしていて、身動きが取れない事もしばしばあった。
そのほとんどの人は普段着で来ていて多くの写真の前でワイワイと話に花を咲かせ
ていた。おそらく鈴鹿に住んでる人たちで、近くのオバちゃんの話に耳を傾けると
「ホラ、宗一郎さん、こんな笑ろてはる」「宗一郎さん、赤い服よう着てたなぁ」
と、みんな宗一郎さんと呼んでいた。鈴鹿製作所にパートで従事していた人たちな
のだろう。とても気さくな宗一郎の人柄がよくうかがえた。

こんなに多くの人々に愛されて、やっぱり幸せな人生だったと思う。
二階の別室では「本田 宗一郎の軌跡」というビデオが上映されていた。
目の前のTVの中で宗一郎が動く、しゃべる。今までの功績が総て分かる構成だ。
この日の為にホンダ広報部が制作したオリジナルビデオらしい。
すごくこのビデオが欲しくなり、社員の方に聞いてみると、広報部へ言ってくれと
言われた。(後日、ホンダ本社の広報部にLOVESTEP! という存在をアピールし
交渉。特別に、という事でビデオテープを送ってくれた。感謝。)

RA272

宗一郎パネル

お礼の言葉

スーパーカブ

写真コーナー

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宗一郎サイン

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